スキンケア=自ら抱えた湿潤を保護すること

ーーースキンケアってーーーー

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スキンをケアするとは結局

スキンケア
通常は単純に
「何が効くのか」
「何を使えばいいのか」
「その中身は何で何故効くのか効かないのか」
みたいなことを知りたいだけだとは思いますが、効く効かない効かせるにしても、何をにつけ根底には多方面からの理由があるので、今回はブッたまげの面倒な内容になります。

まず知るべきは、皮膚の構造、化粧品の構成、各成分の配合理由、健康な皮膚を保つ本当の方法。
「どーでもエエやん、けったいな(変な、の関西弁)ことに興味持つ奴」と言われながら20数年。

有識者方のいろいろな意見、様々な考えがありますが、私自身の体験体感は「泉は体内」。
理屈からの結論は、スキンケアとは結局、「自らが抱えた湿潤を保護することである」です。

こうして新たにブログを再開した機会に、モヤッとした面倒な理屈を整理しながら書き留めておきたいと思います。
これまでも、これからも、どのスレッドも、ここが根っこになります。

また、ケアに付き物の基礎化粧品。
化粧品を皮膚に塗って効かせるためには、ある程度の浸透が必要になりますが、

・どれくらい浸透するのでしょうか。

・「あらゆる外敵から防御するバリア機能を抱えた皮膚」に「浸透する危険」を考えた時に起こる「浸透させたい、浸透してはいけない」という矛と盾。

・皮膚をこじわる事で出入口ができるということは、抱えた内部の天然保湿成分や保護膜を逃すことに繋がるのではないか。

・ナノ化することで成分はどのような状態になるのか。

・体内まで浸透する精油。

・合成ではないオイル過多のナチュラル石鹸が何故「即時保護」に繋がるのか。

などについて感じていることも、素人なりの稚拙な言葉になりますが、学術書のような難解さなく捉えていただけますよう、素人だからこその素人目線の疑問からの出口と体験を書いていきたいと思います。

※化学嫌いで化学のの授業エスケープ常習者だった化学ノータリンな私の「なんで?なんで?」の備忘録にも当たります。
いろいろな角度から書いたので、まとまりがなくて申し訳ないです。

皮膚の構造と働き

まずは、「どんな構造のものをケアしているのか」を知っておきたいと思います。
皮膚のおさらいです。

角質層=死んだ細胞、ケアが届く層、見た目を左右する層

皮膚は見えているフラットな表面ではなく、断面で捉えるとイメージしやすくなります

皮膚は真皮と表皮から成り、肌表面に当たる表皮部分の厚さは平均0.2ミリほどです。

この表皮のターンオーバーは、一般、約6週間サイクルといわれています。
「加齢でターンオーバーは遅れる」とビビらされていますが、本当はビビらなくても全く大丈夫。
本当は、ターンオーバーを早めるためにやたらと余計なこともしなくても大丈夫。
ある程度遅くても、生きている限り、必ず新陳代謝はしています

表皮は、外側から順に
「角質層」
「顆粒層」
「有棘層」
「基底層」
の4層から構成され、いちばん外側にあるのが角質層です。

角質層

角質層は0.01ミリから0.03ミリ。
角質層は、表皮の4層目に当たる基底層が絶えず分裂を繰り返すことで押し上げられた15~22層の死んだ細胞から造られています

「死んだ」というのは、角質層の次にある顆粒層より下の部分には細胞核の点が見えるそうですが、角質層には見えないそうなので「死んだ」という表現をしました。

細胞が死んでいるということは、血液中から栄養が補給されることがなく、傷ついたりフヤけたりするだけでも構造が崩れます。

「繋ぎ」の細胞間脂質、ラメラ構造

この15~22層の角質層でレンガブロックのように重なり合った角質細胞を繋いでいるのが細胞間脂質です。

化粧品に「ラメラ構造」「ラメラストラクチャー」というワードを使った宣伝文句がありますが、「ラメラ」とは「層状」のことで、皮膚の細胞と細胞の間には水相と油相の繰り返しから成る層状構造の物質が存在しています。
水に馴染みやすい部分同士、油に馴染みやすい部分同士が向き合って層を作っています。

細胞間脂質は「ラメラ構造」。
水と油の両方の性質を持った1500層もの脂質分子(セラミド、スフィンゴ脂質、遊離コレステロール、遊離脂肪酸)が端正に重なり合い、陳列された構造です。

すごく簡単にいうと、ラメラ構造は「水、油、水、油~~」みたいな感じ。

細胞間脂質の主体はセラミドで、セラミドは脂質でありながら水に馴染む機能を持ちます
セラミドが不足すると、細胞と細胞の間に隙間ができて水分が蒸発しやすくなるため、バリア機能が低下して乾燥します

角質層の成分比率

角層層の固形成分の比率は、(だいたいですが)ケラチンが58%、脂質が11%、天然保湿因子(NMF)が30% 。

角質層のグリセリン

身体の細胞膜に存在する膜貫通たんぱく質をアクアポリンといいます。
約270種類のアミノ酸残基から成る細胞膜水チャネル分子です。
細孔を持つアクアポリンはトンネルのような穴を形成して、水分子のみを細胞膜を横切って移動させます。

角質層でも、アクアポリンが表皮に水を行き渡らせる役割を担っています
角質層にあるアクアポリンをアクアポリン3(AQP3)といいます。
角質層には水分とグリセリンチャネルであるアクアポリン3(AQP3)が多くあります。

AQP3は皮膚の保湿にとって重要な役割を担い、角質層のグリセリンと水分の量を調整します。
このAQP3はビタミンAによって増加するそうです。

グリセリンは、中性脂肪 (トリグリセリド) が分解されて遊離脂肪酸とともに生成されますが、「角層層のグリセリン」は、 皮脂腺でのトリグリセリドの分解や表皮角化細胞での脂質代謝によって生成されます

頬表面のグリセリン量は0.7μg(マイクロメートル)/cm2 と報告されていて、皮脂膜の厚さを0.5μmとした場合にはおよそ1.4%のグリセリン溶液で皮膚表面が覆われていることになります。
このことから、皮膚表面では、グリセリンは水をしっかり結合させた状態が保たれいると考えられているそうです。

※0.1マイクロメートル=0.001ミリメートル、1000ナノメートル

角質層の水分量

角層の水分は、角層内の天然保湿因子(NMF)やたんぱく質などの分子に結合している結合水です。

角質層の水分量は、角質層の重さの10~20%(20~30%という資料もあり)の時に自然な柔軟性を示し、10%以下になるとカサカサ乾燥や肌荒れが生じるようです。
よって、角質層を0.02mmとした場合の含有水分量は約0.3cc以下程度だそう。

見た目を左右する角質層は日々生まれ変わる

そして。
見た目を左右するのは、こんなに薄くて脆い角質層。
肌の透明感は、角層に含まれる水分量で決められているといっても過言ではないと思います。

様々な原因によって角質層の保湿機能が失われると、水分含量が低下し、 皮膚の表面は乾燥します。
そして亀裂を生じ、更に悪化すると鱗屑や過剰な落屑を生じるようになります。

けど大丈夫。
角質層は日々、剥がれ落ちなから下層から押し上がって来て綺麗な角質層に生まれ変わります。

ただ、例えば、怪我をしたらカサブタができますが、無理に剥がすとまた出血して元の木阿弥になるのと似た感じで、傷んだ角質層を無理に剥がしてはいけません。
カサブタの下同様、傷んだ角質層の下はまだ未熟です。
下層で一生懸命、新しい角質層を育てているので、状態によっては時間がかかる場合もありますが、自然に剥がれて健康な角質層が出てくるのをじっくり待ちましょう。

天然保湿因子(NMF)


天然保湿因子の働き

天然保湿因子(NMF)は、「水分を取り込む吸湿性」と「水分を抱え込む保湿性」に優れた成分の総称です。
真皮や空気中の水分を取り込んで、角質層に潤いを与える働きをします。

天然保湿因子(NMF)は、角層細胞内にある水そのものの中に溶け込む水溶性低分子で、遊離状態で存在し、水分をしっかりと結合させた状態を保っています。

天然保湿因子が減少してしまうと、皮膚に必要な水分の蒸散から護ることができなくなり、水分不足になり、本来の潤ったハリ感を失い、硬くゴワゴワした肌になります

天然保湿因子の成分と生成

天然保湿因子の成分の主体はタンパク質が分解されてできたアミノ酸。
そしてピロリドンカルボン酸(及びその塩)、尿素、ミネラル塩類、有機酸(及びその塩)などです。
表皮の最奧部にある基底層で生まれた細胞が徐々に角化して、肌の表面に向かう過程に於いて生成されます。

また、天然保湿因子は一定の働きを終えるとすぐに消失してしまう成分ですが、常に新しく作り出されます。

洗浄での流失と復元

洗浄でも流失しますが、一般、洗顔後、数分ほどで復元し、元の角層水分量に戻るといわれています。

皮脂膜


皮脂膜の成分

角質層の表面は「皮脂膜」という、肌が作る天然の保護クリームで覆われています
皮脂膜には、遊離脂肪酸やトリグリセリド、ワックスエステル、 スクワレン、汗の中の乳酸、アミノ酸などが含まれています。
簡潔にいうと「油分、水分、保湿成分が混ざり合ったもの」です。

弱酸性に保つ働き

皮脂膜は、皮膚をpH4.5~6.5の弱酸性に保つ働きもしています
洗浄剤でアルカリに傾いても、必ず弱酸性に戻ります。

洗浄での流失と復元

皮脂膜は、洗顔すると角質層の表面がむき出しになり、「二次結合水」が蒸発しやすくなるので、「乾燥を感じやすい状態」になり、同時に「水分をはじく力が弱まった状態」にもなります。
※「二次結合水」については「水、生態組織の水分」へ。

洗顔で流失された後は、また皮脂が分泌され、皮脂膜は約1時間で復元します。
ただ、完全に元に戻るまでには約4時間ほどかかるといわれています。
保護能を持たない普通の洗浄剤での洗浄の後は、皮脂膜と同じような成分の疑似皮脂膜クリームなどで角質層を乾燥や刺激から護るケアを
勧めます。
(保護能を持つ洗浄剤については「合成ではない石鹸という界面活性剤~ナチュラル石鹸のメリット」をご覧ください。)

また、皮脂の分泌は、正常であれば一定の厚さになれば止まる仕組みです。

※もとの機能では「必要な皮脂量」の分泌により、正常な厚みになれば止まりますが、皮脂過多になる理由は、「洗い過ぎ」「落とし過ぎ」が原因である場合がほとんどです。
皮脂が多いからと脱脂力の強い洗浄剤で過激に洗うと、洗顔直後はサラサラでも、皮膚内部には「皮脂が足りなくなった、たくさん出さなきゃ!」という指令スイッチが入り、しばらく後に過剰な皮脂を分泌するので、肌表面は常に皮脂過多になります。
あらゆる皮膚組織のバランスが狂うと、インナードライにも通じます。
皮脂過多の方は、騙されたつもりで優しい洗浄に切り替えてみてください。
多くの場合、水分油分のバランスが取れた皮膚になります。

必要は「水」ではなく「潤い」

潤いを抱えているのは3ヵ所です。
・肌表面
・角層細胞内
・角層細胞間

潤いとは「水」ではななく、ここに存在する
・天然保湿因子(NMF)
・皮脂膜
・細胞間脂質など

・天然保湿因子の働きによって保たれている水分

それは、角質層を構成している全ての要素そのものであり、肌表面でバリアの役割をしている角質層そのものです。

皮膚の働きその1・人体を護るバリア膜

旧ホームページのプロローグにガッツリ書いた「皮膚は人体最大の臓器です」

体重の16%を占める皮膚の一番の役割が身体(血管、細胞、神経)を護ることであり、異物が侵入しないための大事なバリア膜です。
異物は、基本的には特殊な医療技術を用いなければ角質層の奥までは届かないようにできています。

皮膚の一つのお仕事は、生命を維持するために
・水分の喪失や透過を防ぐ
・体温を調節する
・微生物や物理化学的な刺激から生体を護る
・感覚器としての役割を果たす

この、身体を護る機能として最も重要な役割を担うのが角質層で、角質層がバリア機能を失ったら危険な状態になります
表皮を越えて異物が侵入すると、炎症を起こして化膿したり、重篤なアレルギー症状を引き起こしたりもします。

皮膚の働きその2・必要を保持するバリア膜

そしてこのバリア膜は、もう一つのお仕事を担っています。
外敵から護るだけでなく、脂質(セラミド)や天然保湿因子や水分が逃げないお仕事もしています
バリア膜が破壊されると、保持されるべき物質が角質から外に流出して、乾燥を引き起こします。

皮膚に化粧品の成分を浸透させるということは、バリア膜を破壊する必要があります。
しかし、バリア膜を破壊するということは、皮膚に必要な成分が保持できなくなるということに繋がるので、化粧品をつけてもつけても乾燥するという悪循環を起こす場合があります。

後記にある「過度に自由水を与えないこと」と共にスキンケアの最も大切な役割は、化粧品等を浸透させるより、まずはバリアである皮脂膜を保持、補強することと考えられています。

バリア膜の保持による自活力、自己再生力

化粧品の広告は魅力的です。
どれだけ理屈を抱えていても、その夢の世界には私も踊らされる、踊らされたくなります。
新成分や新たに工夫された既存の成分には、多分に科学的エビデンスがあるのでしょう。
特に「使用感は悪いけど強烈に効きそうな本物のドクターズ系」など。

けど、いろいろ使ってみた私は思いました。
バリア膜を破壊して合成でできあがった(素晴らしき)成分を入れるより、バリア膜を護る方が常にバリア機能が正常に働き、皮膚はトラブルと無縁で常に安定し、水分油分のバランスが取れた状態を保てると。
仮にトラブルが起ころうが、次に再生してくる皮膚が健康であれば、ほぼ問題はありません。

化粧品の浸透

上記と相反するお話になりますが、化粧品を使うなら使うで、効果は期待できるのか、健康な肌を保つことができるのかを知りたいです。

化粧品は浸透するのでしょうか。

基本、化粧品の浸透は角質層まで

基礎化粧品は、仮に浸透条件を満たしていても細胞分裂している層に届くことはなく、浸透はこの死んだ角質層までです。

薬事法でも化粧品が角質層よりも奥まで浸透するという広告は禁じられていますが、実際、だいたいは角質層にしか浸透しないのです。
「奥まで届く」「深部まで届く」という広告はありますが、頭で「角質層内の奥(深部)まで届く」に変換しておきましょう。

そしてケアが届く角質層はしばらくしたら剥がれ落ちる部分。
だから日々、ケアを繰り返すわけで、だからこそ、シンプルで尚且つ有意義なケアをしたいと考えるのです。

例外的に皮膚を透過する条件を満たして皮膚吸収能を持たせたものは医療の域での「お薬」です。
有効成分が皮膚に吸収し、血管に取り込まれ、血中に吸収されて全身に運ばれる医学的な定義での「経皮吸収」は、表皮の角質層の隙間を通って浸透させるか、毛穴や汗腺の隙間から内部に染み込ませるかのどちらかです。
ただ、毛穴や汗腺は肌の表面積の0.1%しかないので、必要な量を取り込むためには、狭い角質層の隙間を透過させる必要があります。

また、皮膚が傷ついたり荒れたりして細胞膜が傷ついている場合は、条件を満たさなくても比較的簡単に経皮吸収します。
この場合、ありがたくない物質も入るので、まずは治癒を待ちましょう。

浸透の基本条件

およそ20年前にも書いたことがありますが、皮膚に浸透する条件は概ね2つ。
・分子量500ダルトン以下であること
・水にも油にも溶ける性質であること

(分子量500ダルトンルールについては、絶対ではないけれど、最重要ルールといわれています。)

ただ、浸透されるかどうかは「分子量だけでなく分子構造に依存する」ともいわれています。
浸透は、成分濃度と皮膚内部の濃度差による受動的な拡散現象とする考え方が有力だとする説もあります。

そして、何が皮膚に浸透されるかということ自体も、皮膚の細胞にまで浸透するのか、細胞間に浸透するのか、あるいは皮膚のどの層まで浸透するのかも、解明はされていません。

部位別 透過する分子量、ブロックする分子量

健康な皮膚が経皮吸収できる分子量は、物質が通過する道によって異なります。
・細胞と細胞の間を通って吸収される細胞間隙経路=分子量500以下
・細胞内を通過する細胞実質透過経路=分子量500以下
・毛穴や汗腺から吸収される附属器官経路=分子量1000以下

ブロックする分子量から見ると、
・表皮=分子量3000以上の物質をブロック
・真皮=分子量800以上の物質をブロック
・血管:分子量300以上の物質をブロック

化粧品成分の分子量

化粧品に配合される主要成分の分子量を書いてみます。
(今は便利になりました。「成分名 分子量」で検索すると出て来ます。)

・加工していないヒアルロン酸=100万以上
・アスタキサンチン=596.8
・セラミド=397.6
・海洋性コラーゲン=60万
・動物性コラーゲン=30万
・動物性コラーゲン(エクステンシン)=30万
・コラーゲンペプチド=500~1万
・コラーゲンペプチド(魚ウロコ由来=平均1750
・プロテオグリカン=100万以上
・レチノール=286.46
・ビタミンC=176.1
・ナイアシンアミド=122.1
・ビタミンE=430.8
・プラセンタ=数万~数10万
・プラセンタエキス=100~200
・サイタイエキス=100~数100
・ジパルミトイルヒドロキシプロリン(アミノ酸)=607.95
・グリセリン=92.1
・BG(ブチレングリコール)=90.1
・DPG(ジプロピレングルコール)=134.1
・エタノール=46.1
・メチルパラベン=166.1
・フェノキシエタノール=138.1

一般的には、多糖体であるヒアルロン酸やたんぱく質に当たるコラーゲンは、もともとは分子量がかなり巨大です。
(これらは皮膚表面に馴染みやすく乾燥を防ぐ効果はあります。)

なので、たんぱく質を切断したりしての低分子化させたものが多くありますが、場合によってはアレルギーの原因物質になりやすいという難点が。
低分子といっても様々ですが、ヒアルロン酸で3000~6000みたいです。
コラーゲンは、加水分解コラーゲンで数千~数万、低分子コラーゲンなると200~300とか。

アミノ酸ならプラセンタエキスなら分子量が小さいです。
馬の臍帯酵素分解して抽出したサイタイエキス(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸、各種アミノ酸含有)は、分子量が100~数100と小さいので、浸透しやすいと言われています。

保湿剤でもありながら製品の安定化剤でもある、BG(ブチレングリコール)やDPG(ジプロピレングリコール)などの石油化学薬品系の合成成分は、意外と分子量が小さく、皮膚に浸透しやすい物質です。
嬉しくないことに、パラベン類やフェノキシエタノールなども分子量が小さく、皮膚に浸透されやすいようです。

分子量などから見た経皮吸収のメカニズムは、自然界に存在する物質にはほぼ有効ですが、石油などを原料にして人工的に作られた「合成化学物質」は、バリア機能である皮脂膜を溶かして体内に侵入することが知られています

ナノ化

大きな分子の成分を皮膚に浸透させる技術の一つに「ナノ化」があります。
ナノは10億分の1。
1ナノメートルは10億分の1メートルです。

ナノ化とは、一つの大きな分子の物質を小さくするのではなく、切り刻むことです。
なので、それは物質の切れ端です。
ナノ化成分も同じくで、例えば分子のデカいコラーゲンの場合、コラーゲンを構成しているアミノ酸ほどまでに小さくします。
が。
それにより、元のコラーゲンとしての特徴は失われるので、大袈裟にいうと「単なるアミノ酸」になっているようです。

ナノ化された成分は、環境によってはデリケートで劣化しやすく、製品の安定性が低くなります。
なので、配合濃度を高めると製品の安定性を保つ安定剤や防腐剤が多くなりますが、おおよそは安定剤防腐剤を抑えるので成分濃度が低くなるそうです。
成分低濃度はナノ化にコストがかかることも関わりがあるようです。

これは、目で見たり解体したわけではないので事実かどうかは私には分かりません。
それぞれの製品により、絶対ではないと思いますが、ただ、ナノ化化粧品を使っても、イメージほどドラスティックでもないし、そんなに効果を感じないのは、こういうところに原因があるのかな?と思った次第です。

マイクロニードル

このところよく耳にするマイクロニードル。
医療に使う経皮治療システム(TTS=Transdermal Therapeutic System)の一つです。
お薬としてのメリットは肝臓負担がない点。

マイクロニードルは、生分解性バイオポリマーによる1mm未満の直径や長さの極小の針のことで、この針の付いたシートを皮膚に貼り付けて成分を吸収させます。
今では24時間以上効果を持続させることができます。

マイクロニードルは、分子量の大きい物質を痛点の多い真皮より浅い表皮に刺激なく到達させることができます。

ワクチンやインスリンに適応されることでは有名ですが、ヒアルロン酸など化粧品での研究開発も行われて、薬剤成分を用いるための溶解型マイクロニードルへの適用が開発され、市場に出るようになりました。
無痛注射器の開発発表は2018年です。

興味から、このマイクロニードルのパッチの化粧品を私も一度、試してみました。
目の下に貼ってみましたが、確かに痛みはなく、少しチクチクザワザワとした違和感はありました。
けど、ヒアルロン酸などの成分が確実に入っています
目の下がフックラして、いわゆる「影」が無くなるので顔全体が若返ります。
誰しもが、かなりの効果が期待できるでしょう。

けど、使わずに居れなくなる恐れを感じたのと、止めた時の落ち込みを想像してしまったのと、異物をダイレクトに入れることに心地悪さを感じたので一度しか使っていません。
どうしてもの時に、こういう「一気に挽回メイクアップもどきな基礎化粧品」がある事を思い出したいと思います。

ただし、選ぶ時には、成分に注意したいと思います。
マイクロニードルは確かにダイレクトに入るので、余計な物質は入って欲しくないから。

※TTSには、皮膚に電場をかけることによってイオン性の薬の吸収を促進するイオントフォレシス、
または、皮膚に超音波を照射することによって、薬の吸収を促進するソノフォレシスがあります。

水、生体組織の水分

水は角質層までは入る

先に「分子量500ダルトン以下」は皮膚に浸透する、と書きましたが、私の最大の謎は、水。
水の分子量はなんと、18ダルトン。
じゅうはち!
皮膚の奥の奥までバンバン入って来そうな分子数です。
なのに、お風呂やプールに長く入っても、水が浸透したとは感じません。

分子量が小さければ透過するといった単純なものではなく、皮膚が抱えた油脂成分や皮膚を覆うケラチンたんぱく質が水をはじくからです。

しかし、角質層は水分を含むことができます
水分をたっぷり含んで膨らんだ状態を「フヤける」と言います。
シワシワになるのは角質層の下の層との体積の差です。

実際は全身の角質層に浸透しているらしいのですが、目に見えるのはフヤけてシワシワになる指先だけ。
全身がフヤけてシワシワになるのは見たことがありません。

全身の角質層も膨らんで伸び広がっているそうなのですが、指先の角質層は他の部分の約10倍も厚いので、沢山の水分を含む角質の体積が増えて伸び広がり所がなくてシワシワになるのだそうです。
加えて、硬い爪の存在もフヤけた皮膚の行き場を阻んでいるそうです。

これは余談ですが。
このシワシワは、海から出でし人類に「体内の水分を逃さないための角質層」が付属した後、進化につれて様々な役割をこなす手の内側を護るために角質層が特に厚くなったそうで、それに伴い、水中でフヤけてシワシワができるとシワシワが滑り止めになって、物を掴みやすくもなったそうです。

※ふやけやすい人は、角質層が水分を含みやすい状態になっている、つまり皮脂(細胞間脂質)や天然保湿因子が流失して、バリア機能が低下しています。
アミノ酸系やセラミド系を小まめに補ってください。

湿潤を保つ=二次結合水を保つ

生体組織の水分には「結合水」と「自由水」があります。

「自由水」は、どこにも結合せず自由に動きまわり、簡単にに蒸散してしまう水です。
運動に制限がなく、自由に移動できる点で、液体の水と同様の挙動を示します。

「結合水」は、角質層内のアミノ酸、たんぱく質、イオン類などの分子と結びついている水です。
他の物質と何らかの結合状態(水和状態を含む)にあるため、その運動が著しく制限されています。
0℃でも氷結しません(食品の冷凍に於いても便利な知識です。)

「結合水」は更に2つに分かれていて、「一次結合水」「二次結合水」の状態があります。

一次結合水は、
角質層内の水分の約5%で、角質層内の物質としっかり結合
しています。
160度以上で3分間加熱して初めて結合が外れます。

二次結合水は、
温度や湿度などの外部環境にデリケートです。
温度や湿度などの外部の環境によって容易に吸着、離脱を繰り返す水で、 特に乾燥した環境ではゆっくり蒸発していくような緩い結合状態
です。
この二次結合水の量は、共存する分子の種類と量によっても異なります。

二次結合水の容量を超えて角質層が水を含んだ場合は、この水は自由水となり、 この自由水の量が一定量を超えると肌がふやけた状態になり、一時的に結合が崩れて、自由水と一緒に二次結合水も外へ蒸散していってしまいます
結果、本来の柔らかくて強靭な性質を失い、ハリがなく脆い角質層
になります。

潤いを保っているのは結合水で、自由水が少ない皮膚です。

化粧品の水は自由水

主に化粧品原料として使用する水は不純物の少ない精製水ですが、いわばこの自由水です。

問題は、この自由水が二次結合水の容量を超えて角層層に含んだ場合は過水和になり得て、角質層を構成している柔らかく強靭な角層細胞はハリを失くし、脆くなり、最終的には破壊されるといわれています。

自由水を過度に与えるより、内部の二次結合水を保つことの方が、理想的な保湿状態になるということです。
もともと皮膚には、体内から水分を供給して保持する仕組みがあります

水分をはじく役割を持つ角質層内にも、皮膚の内側から届けられる水分と汗の水分が含まれているといわれており、その水分によって柔軟さなどを保っています。

皮膚の表面を美しく保つためには、角層の柔軟性を維持することが大切です。
そして角層の柔軟性維持には結合水の存在が何より大切であり、角質の柔軟化は、「角層中の天然保湿因子(NMF)やたんぱく質などと水との結合」が重要となります。

略すと、角層の水分保持は、二次結合水をどれだけ保てるかにかかっていると考えられます。

スキンケアの難点

基礎化粧品ラインのアイテムには、化粧水、美容液があります。
化粧水の重ね付け、もしくは化粧水及び美容液パックなどは満足感に浸れます。

化粧水や美容液を使うと、とりあえずシットリとした瑞々しさを感じます。
けど、シットリ感の正体は化粧水や美容液が浸透したものではなく、たいていは「皮膚に残る保湿成分」です。
角質層は水分を吸い込むと膨らむので、一時的にふっくら瑞々しく、皮膚にハリが出たように感じます

私は15年くらい前にランコムやヘレナルビンスタインの美容液を「メイクケア」と評したことがありますが、まさにこれです。
「改善しないけど、一時的に肌がアガる」

実際は水(自由水)をたくさん与えても貯水はできないし、与え過ぎると逆に肌の状態にはよくありません。
また、角質層に必要な水分の量は僅かのようです。

しかも、角質層はバリア膜。
外部からたくさんの水分が一気に浸透させようとしても、浸透を阻んではじきます。
無理に与えると、自由水ばかりか増えて角質細胞は壊れ出し、角質層の構造も崩れ、保水力が低下します。

角質層に留まることができない外から与えた過剰な水分(自由水)は徐々に蒸発していくと共に角質層は萎むので、更なる経時で乾燥を感じます
だから「与えた化粧水の水分が逃げないように、最後にフタをする基礎化粧品(乳液、クリーム)」を勧められますが、自ら持つ二次結合水の保護には役立つものの、この自由水の蒸発を防ぐことは難しいです。

驚くことにスキンケアは、「潤いたいから水分を与える」ことで、過ぎたるは逆に乾燥させてしまうという難点を孕んでいるのです。

角質層の未熟化


角質層は角質細胞が積み重なってできていますが、角質層がレンガの壁、角質細胞はレンガのブロック。
正常時よりも脆弱な「未熟な角質細胞」が積み重なってしまうことで、角質層の未熟化が起こります。
すると、水分を保つ力も、肌の内側を護る力も弱くなります。

角質層が未熟化する理由の一つに角質剥離を促進するケアのやり過ぎが上げられます。
アルファヒドロキシサン(AHA)などの薬剤による溶解やスクラブなどの物理的剥離などのケアは、不要な角質肥握によるゴワゴワには有効ですが、「不要」がない時にはまだ未熟な角質が剥き出しになってしまいます。
表皮の薄い日本人には過度になり過ぎる傾向があるので注意が必要です。

もう一つ上げられる理由は「化粧品の使い方」による可能性が多くあります。

使い方で未熟化が起こる原因は、
「自由水」を過剰に与え過ぎる

角質層の上層部の構造が崩れ始める

通常のターンオーバーの工程を短縮して、慌てて新しい角質層に入れ替えようとする

角質細胞が本来の成熟した状態になるのを待たずに未成熟なままの角質細胞を積み上げていく

この繰り返しで、水分を保つ力も皮膚の内側を護る力も弱くなり、乾燥しやすく刺激に敏感な皮膚になる

乾燥肌、敏感肌になってしまう

結論として、角質層を美しく保つには、剥離促進し過ぎず、自由水を与えすぎず、二次結合水を保持することになります。

ずっと説明し切れなかった「泉は体内」の説明をここに見つけました。
たんぱく質代謝のために一日の中でも定期的なたんぱく質摂取し、ビタミンミネラルも豊富な食事を心がけ、充分な睡眠を取りましょう。←テキトーなオマエが言うなという批判は受け付けません。

ところで、思いました。
マルティナ・オーガニックやDr.ハウシュカなどのスキンケアラインの化粧水はエタノールが多く、いわば「拭き取り」でしかなく、「使えねぇ」などと思っていましたが、「落とし過ぎないクレンジング、オイルやクリームの親和を図るために湿らせる化粧水、潤いを護るクリーム」と、健康で美しい角質層を保つには理に叶ったスキンケアラインなのでした。
(実際は両ブランド共にクリームは日中のみ使用となっています。)

界面活性剤

バリア膜を破壊して浸透を促す合成界面活性剤

皮膚を透過する条件としては、分子量だけでなく、「水にも油にも溶ける性質」が上げられます。

浸透させるには、先に説明したラメラ構造を通過したい。
皮膚の表面を覆っている角質層は脂溶性のものが吸収されやすく、角質層よりも下は水溶性のものの方がが吸収されやすくなっているので、「水にも油にも溶ける性質」の物質の方が皮脂を通り抜ける力が強まります

この、水溶性と油溶性の両方の性質を持っているものというと、かの界面活性剤

界面活性剤は、分子内の水と混ざり合う性質の親水基と、油と混ざり合う性質の親油基を持ち、水と油、液体と個体などの境界を探して、これら界面に働きかけ、水分子同士の水素結合を切断して水の表面張力を低下させます。
境界、つまり「界面」を活性させるから「界面活性」。
この作用を界面活性作用、界面活性作用を示す物質を界面活性剤といいます。
界面活性作用は泡立ちを良くして、繊維に対する浸透性が向上します。

これが「合成」の「合成界面活性剤」となると、合成化学物質の中でもバリア膜(皮脂膜)を溶かす王様です。

合成界面活性剤というと、まずは合成洗剤をイメージします。
合成洗剤は、強酸であるスルホン酸R-SO3Hのナトリウム塩です。
強酸と強塩基からなる塩は、加水分解せずに中性を示し、硬水と反応しないので硬水地域でも泡立ちやすく使いやすいです。

合成洗剤は、流した直後は表面にヌルヌルアミノ酸を残す処方にしていても、その性質により、しばらくすると乾きます。
そして流された合成界面活性剤は自然分解することもなく生物の餌になることもなく、環境を汚染するパワーすら持ち合わせています。

合成界面活性剤は、合成洗剤だけでなく、あらゆる化粧品の乳化や乳化安定として使用されています。
乳化とは、ザックリいうと、水と油を混ぜ合わせてコロイド化する(油を細かくして液体を白く濁らせる)ことです。
とても滑らかで感触のよいものができます。
しかも、その状態をずっと保持するパワーを持ちます。
種類によるとしても、だいたいはほんの少量で水と油を混ぜる強力なパワーを持ち、生分解性が低いため、タンパク変性作用が大きく、ついでに皮膚の境界であるバリア膜もこじわって、成分を浸透させるパワーも持ちます

乳化というと、乳液やクリームを想像しますが、一見「水」な化粧水にも油性成分が配合されているものも多く、もしくは成分の溶解、そして浸透を促すために合成界面活性剤が使用されています。
化粧水のボトルを思いっきり振ると泡が立ちますが、この泡がいつまでも残る場合は強い合成界面活性剤、あるいは多量の合成界面活性剤が配合されています。
泡がすぐに消失する化粧水には合成界面活性剤の使用がない、あるいはものすごく微量と考えられます。

このenvironmental destruction。
しかしながら、日本では1933年にドイツからの技術導入後、1937年には発売、第二次世界大戦中の油脂不足などの経過などにより洗浄剤に多用され、そこから更なる洗浄力を付けました。
そして1953年には生活洗剤としてその泡立ちと滑らかさと洗浄力で歓待され、後に改良されながら、あらゆる分野で汎用されてきた歴史を振り返ると、無かったら無いで不便になるのかも知れません。

合成ではない石鹸という界面活性剤~ナチュラル石鹸のメリット

  

石鹸界面活性剤(脂肪酸ナトリウム)

話しが逸れますが、合成界面活性剤ついでに石鹸という界面活性剤について書きたいと思います。

自然素材で作った石鹸も「脂肪酸ナトリウム」という界面活性剤です。
弱酸と強塩基から成る塩なので、水中で加水分解して弱塩基性を示します。

石鹸の界面活性剤は、たんぱく質変性作用が少ないので肌荒れなども起こりにくく、合成のようにバリア膜を破壊するような問題はありません。
余計な合成の異物が皮膚に残ることもありません。

自然環境に戻しても生分解性が高く(微生物が持つ酵素により分解)、自然環境に対する影響も小さいです。

この「石鹸界面活性剤」にも弱いながらに乳化力はあります。

「洗えているのに保護力もある石鹸」「洗う度に皮膚のバリア膜を保護する石鹸」を作り出したわけ

以下、宣伝ではありません。一般的な視点からのお話です。

私は過去、合成洗剤と石鹸の区別すら考えたことがありませんでした。
父が育った神戸市には早くから外資化粧品が並んでいたので、メイクを始めた途端に父に連れられて覗いていたため、当たり前のように華やかなハイブランドの洗顔剤を使い、ボディや髪にはDSものか、あるいはサロンで勧められたものを使っていました。
多分、合成洗剤だらけです。
サロンで勧められて使っていた中でマシだったのはアミノ酸シャンプー「パルガ」の前身である「レラ」くらいだったかと。

合成界面活性剤の理屈を知ってからは、使う度に皮膚のバリアを壊していくイメージが湧いていたのに、市販されている素朴な石鹸にはなかなか興味が持てませんでした。
芳しいフレグランスと表面のシットリ膜に慣れていました。
もちろんしばしの経時で乾くので、保湿剤(化粧品)をたくさん盛っていました。

ある時、皮膚にも環境にも優しいナチュラルなハンドメイド石鹸をその意識の高かった友人にいただき(本人の手作りではなくネットでまとめ買いしていたそうです)、使ってみてその皮膚の変化に驚きました。

そして私はオイルの脂肪酸に興味を持ち、好きなオイルで自らの石鹸を作ることにして(何より配合成分に信頼できるから)、ついでに使用オイルの全てをケン化し切らずに石鹸に抱え込ませ、長期間の熟成でアルカリ度を下げて、洗う度に良質なオイルが皮膚に纏う構成にしました。

こうすることで、洗顔により流失した皮脂膜が再生されるまでの間も皮膚にストレスがなく、「洗えているのに保護力もある」を実現しました
よって、この、「洗う度に皮膚のバリア膜を保護する石鹸」は、余計な保湿ケアが不必要になりました。

乾かない石鹸の構成

私は石鹸の説明をする時に略して「余分なオイルを含んでいるから、ミセルがはじけた時にオイルが皮膚を覆います(纏います)。」といいますが、これは可溶化という現象からのものです。

石鹸界面活性剤の集合体がミセルです。
石鹸の中では石鹸粒子が多数、会合して、ミセルと呼ばれる集合体を作り、水中に分散します。
ミセルは、両親媒性のコロイド粒子が会合したもので、いわばコロイド粒子。
ミセルが集合した状態のことをコロイドといいます。
石鹸は、低分子化合物の分子が何個か会合してコロイド次元の大きさになったもので、ミセルコロイドといいます。
ミセルコロイドは光を散乱して、水溶液は白く濁っています。
この時、石鹸の粒子は親油性の部分を外側(水中)に向けて会合しています。

水中の石鹸分子がこれ以上、界面に吸着できなくなると、水から逃げようとする疎水基は吸着できる界面がないので、親油基(疎水基)同士で中央に集まって水を避けます。
そして外側は親水性のカルボキシル基、内側に親油性のアルキル基に配列します。
石鹸は水に溶けにくい油などの汚れを疎水基の集中したミセルの内側に取り込んで、水中に分散させます。

ミセルの中心部に親油姓(疎水性)の物質を取り込む現象を可溶化といいます。
洗浄ではじけた時に余分に配合されたオイルも溢れ出し、洗浄しながら肌に纏います

上記と重複しますが、洗って流失した脂質を洗った途端に石鹸ミセル内のオイルを纏うことで剥き出しの表皮を護り続けたことで、だいたいの皮膚トラブルから解放され、丈夫で與良がない皮膚を維持できるようになったのは事実です。

過敏でもなく(過去、鋼鉄ババ肌などと言っていたくらい)、エコロジーがどうとかも考えていなかった私が、極力、合成界面活性剤を避けるようになり、たまに出る顔のマダラな赤みや吹き出物が全く出なくなったのも事実です。

結局、丈夫で年なりに若々しい皮膚を保つために必要なのは「バリア膜を破壊してアンチエイジング成分を入れること」ではなく、「ひたすら護ること」でした。

※余談・界面活性剤による「乳化」とは、水溶性の成分と油溶性成分に界面活性剤を加えて安定な乳液を作る操作ですが、乳液の中にある油滴、水滴がミセルです。
「乳化」は操作
「ミセル」は状態、もしくは物体を指します。

※余談・有機化合物をつくる基は官能基、原子団です。
その基の中で、水中で電離してイオンになるもの、あるいは電離はせずに水素結合で水和するものを親水基といいます。
親水基が多い化合物は水に溶けやすくなります。
油との親和性が強く、水とはなじみにくい無極性の基のことを親油基(疎水基)といいます。
鎖状や環状のアルキル基、ベンゼン環などなどですが、炭素鎖が長くなったり、環状構造が多くなったりするほどに疎水性は増加して水と馴染みにくくなります。
この親水基と親油基を同じ化合物のなかでうまくバランスをとるように配置することで、その化合物は界面活性剤としての機能を持つことができます。
油に馴染みやすい界面活性剤から、水の方に馴染みやすい界面活性剤まで、様々な界面活性剤が作られています。

皮膚から吸収する精油

精油の吸収、排出

また「浸透」に戻るので少し話が前後します。
ここでは簡略化しますが、精油は浸透します

まず、分子量が非常に小さい。
例えば
ゲラニオール=154,25
リナロール=154.25
シトロネロール=156,27
シネオール=154,249
α-テルピネオール=154.25

そして、油溶性でありながら、若干、水にも溶ける性質を持つので、植物オイル(鮫スクワランオイル、馬タテガミオイル、エミューオイルも含め)を皮膚に運ぶ媒体として(キャリアオイル)精油を溶かして皮膚に塗布すると、表皮から真皮へと浸透します。

成分によっては、毛穴、汗腺、皮脂腺にも浸透します。

浸透した精油は真皮層にある毛細血管やリンバ管に入り、血液やリンパ液に乗って全身に運ばれ、各器官、各組織に作用します。

しかも素早い
毛細血管から血管に入るまでに20~30秒、全身の細胞に行き渡るまでに15~20分といわれています。

排出は約24時間後。
汗や尿などの排泄物と共に出ていきます。

化粧品の効果実感に期待ができなくなった私自身は、いろいろな自身実験を経て、濃度を高くした様々な自作ブレンドオイルを20年来使い続けています。

精油100%ケアとの最初の出逢いはヴィアロームのフリクションでしたが、感触はよろしくないものの、その絶大な効果に驚きました。
それは私にとって、無用な合成成分を避けられる美容液としては最高だったのです。

フリクションを植物オイルで希釈したことをきっかけに肌状態や気分による精油の自己チョイスに目覚めてブレンドを初めました。
精油ブレンドオイルはキャリアオイルの保護作用も含め、時々や環境、肌状態に合わせた精油ブレンド使うことで、合致したら効果は大きいです。
正常な排出機能を持っているなら絶大な味方になります。

※ただし、精油はこれだけ浸透力が強く、全身に駆け巡るため、皮膚感作などには充分に注意しましょう。
※また、血管を介して体内を循環するだけに、肝臓腎臓への負担となるほどの使い過ぎにも注意が必要です。
※プラトー理論(一定の薬剤投与に対する生理的反応の法則)によると、同じブレンドを使い続け過ぎることでマイナス効果が生じる場合がたまにあるので、肌状態や環境によって変えることも大切です。

精油の吸収を高めるには

まず、皮膚を温めることが有効です。

皮膚を温める

皮脂腺や汗腺の分泌が高まる

皮膚表面の温度が高まると角質層がフヤけて毛孔が広がる

経皮吸収の主要ルートである付属器官からの吸収を高める

また、精油ブレンドオイルを使う前に「フローラルウォーター」や「アべンヌ水」などなどで、皮膚を湿らせる理由は、

皮膚を温めながら湿らせる

角質層の細胞間脂質が流れやすくなる

角質層のたんぱく結合が緩んで膨張してフヤけた状態になる

バリア機能が一時的に低下するので、効率的に経皮吸収される

よって、私自身は通常の化粧水よりこの「湿らせる水」に強い興味を持つのです。

オイルの分子量、皮膚浸透

オイルはグリセリンに3本の脂肪酸がエステル結合したトリグリセリドです。
よって、オイルは様々な脂肪の混合物であり、分子式や分子量を求めることはできません。

脂肪酸は何種類もあり、結合する脂肪酸によって多種多様な個性のオイルがあります。
オイルを構成する脂肪酸には分子式も構造式もあり、それぞれに特徴があります。

さて。
オイルは皮膚に浸透するのでしょうか。
精油は上記のように体内に吸収されますが、そのキャリアオイルは血中や尿の中での検出不可能です。

まず、分子量が大きく血管に吸収されないとも考えられますが、もしかしたら分解されて吸収されているかも知れない。

検出不可能とは、血中には脂肪酸から生成されるコレステロールやビタミンが存在するので、それらがもともとの脂肪酸やビタミンなのか、塗布したキャリアオイル由来の脂肪酸やビタミンなのかを特定できないという次第です。

細胞膜は油脂性なので、水に対してはバリア機能がありますが、キャリアオイルを構成する脂肪酸は細胞膜に溶けるから吸収される、という考え方もあります。

ただ、血中まで吸収されるかどうかは置いたとして、体験上、オイルを塗布してしばらくすると皮膚表面がサラサラになる場合は、明らかにある程度は角質層には浸透していると感じます。

その感覚的な吸収率はキャリアオイルの種類によって違い、身体の部位によって違い、その環境や皮膚の状態、個人差でも違います。
オイルによりますが、だいたいは皮膚表面でのベタつきは軽く、水洗いしても洗い落ちずに皮膚を保護して、継続的な効果を発揮してくれています

フローラルウォーター

私は「結合水と自由水」について詳しくる前から、体感的な不要感により、化粧水を切らしても気にもならなくなりましたが、合成成分ではないナチュラルなフローラルウォーターは切らさず、ずっと使っています。
自作ブレンドオイルの前に肌を湿らせたかったから。

フローラルウォーターは精油のおこぼれだけに分子が小さく、不自然なく違和感なく馴染み、ブレンドオイルを使う前の「湿らせ水分」として大好きです。

フローラルウォーター、つまり芳香蒸留水は水蒸気蒸留法で抽出された水溶液のことです。
高温の水蒸気で抽出されているため、植物の水溶性成分と油溶性成分(精油)との両方を含有しています。

芳香蒸留水は精油を抽出する際の副産物に位置付けられていますが、水蒸気蒸留法によって抽出できる精油がごく少量の植物が原料の場合では、原料植物の含有する水溶性成分が油溶性成分よりも多く、芳香蒸留水をメインに抽出する場合もあるそうです。
(精油は油溶性、フローラルウォーターは水溶性なので、中に含まれる成分は100%同じではなく、作用も異なります。)

フローラルウォーターは内服やチンキとして療法にも使われます。
また機会があれば書いてみたいと思います。

通称で「フローラルウォーター」と呼んでいますが、「ハイドロ(ヒドロ)ゾル(sol)」とも呼ばれ、水(ハイドロ・ヒドロ)にコロイド状となった精油が飽和限界まで溶解しているという特性があります。

ハイドロゾル、ゾルとはなんぞや?というと、
コロイド粒子(流動性を持ったコロイド)が液体中や気体中に分散し,ブラウン運動をしている系をいいます。
(加熱や冷却などの何らかの原因で、ゾルが流動性を失ったものはゲルです。)
(分散媒水ならばハイドロ(ヒドロ)ゾル,有機溶媒ならばオルガノゾル,気体ならばエアロゾル (煙霧質) )。

コロイド粒子とはなんぞや?というと、
直径がおよそ1nm~1μm程度で単一の原子、分子サイズと比べて比較的大きな粒子です。
媒体中に分散した状態で存在します。

終わりに

あちこちの方向から書いてみたので、イマイチまとまりのないスレッドになりましたが、冒頭と同じく、スキンケアとは、「自ら抱えた湿潤を保護すること」です。

シワもシミもタルミも毛穴も気になるけど、どれだけ技術が発達しても、自然である人体が問題なく合成化学物質を受け入れるのは難しいようです。

極力、バリア膜の破壊、過度な自由水を与えることを止めて、内部の潤いを逃さない保護に勤めて、正常な代謝による自己再生力を信じておけば、だいたいは健康な肌を保てるのは確かです。

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