芳香蒸留水(ハイドロソル、フローラルウォーター)の可能性

ーーーハイドロソル(ハイドロゾル)は万能水ーーー

Hydorosolの呼び方は「ハイドロソル」「ハイドロゾル」
文献や専門書、もしくはメーカーによってバラバラゆえ、ここでは「ハイドロソル」で統一します。
精油の蒸留過程で生じる芳香蒸留水を「ハイドロソル」、一般的には「フローラルウォーター」と呼びます。
または「フラワーウォーター」「ハーブウォーター」「プラントウォーター」「ハーバルウォーター」など。

目次 / contents

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いわゆる通称はフローラルウォーターかもだけど通じない場合多々

私は普段は「通じやすい」ので、「フローラルウォーター」と呼んでいます。

呼び方なんぞはどうでもいい話しなのですが、フローラルウォーターが「通じやすい」といっても、「すごくメジャー」ではないのかも知れないので、これを書く前に悩んでしまいました。

何故なら、「スキンケアは何を使っているの?」と尋ねられて「フローラルウォーターと精油ブレンドオイル」なぞと答えたら最後、もちろん「精油ブレンドオイルって?」という質問もありますが、まずは「フローラルウォーターって何?」と尋ねられてしまうことが多くあり、簡易な説明をすると質問はどんどん重なり、ややこしく展開してしまいます。
世の中、ご挨拶代わりになんらかの質問をしてみる人もあるので、本当には興味がない人だった場合には分かりやすく簡素な返答が最適であり、説明は鬱陶しいはず。

かといって「芳香蒸留水」と言うと、聞いたことがない方には「怪しい水系」にも聞こえるみたいです。
愛用している人にとっては「まさか」なくらい意外と純粋なオーガニックのアイテムは全くメジャーではなく。

で、いつからか今でも相変わらず、「スキンケアは何を使っているの?」という質問には、分かりやすく簡素過ぎますが嘘はつきたくないので「水と油」と答えるしかないのです。
気取って「エンビロンの何々」とか、ベタに「クレ・ド・ポーボーテの何々」といった答えを期待していたであろうたいたいの知人は変人を見る目つきになりますが、素早く解放されます。

このようにふだんはブッキラボウな私ですが、本当に興味をお持ちの方、もしくは今ここで興味を持たれた方がありましたら、僭越ながらに本心は「使ったことがない人にも是非使ってみて欲しいスゴイ水」なので、ここでは「水」は「水」でも水とは言い切れない見事な多様性と能力を持つハイドロソルの素晴らしさと可能性を一部、取り上げてみます。

特に入りやすいのはスキンケア。
優しいトナーにもなれば、健やかな角質層を産む保湿ローションにもなり、日常は消毒剤にもなるので、是非、下記をご一読いただきたいと思います。

※ただし、残念なことに植物系のもの全体に言えることですが、完全には解明されていないのも事実であることを付け加えておきます。
しかし決して「おまじない」ではなく、確かに強い作用を持つので、使う使わないは自己責任の範疇で選びましょう。※

厳密には抽出部位がお花以外の芳香蒸留水の名称は「フローラルウォーター」ではない

また、ついでに屁理屈っぽいですが。
まだしも理解されやすい名称「フローラルウォーターは通称」でしかありません。
精油は実際にはお花だけではなく、葉、根、樹皮、枝、針葉、木部、種子、果実からも採取されるので、私はあえて形態としての「ハイドロソル」と呼びます。

よって、作る石鹸の材料表にも「パルマローザハイドロソル」や「ジュニパーベリーハイドロソル」と記載しています。

お花のハイドロソル(本当のフローラルウォーター)は少ない

本当の「フローラルウォーター」ができあがるはずのお花の精油といえば、水蒸気蒸留法ではなくアブソリュート法やアンフルラージュ(冷浸法)で採取されたものが多々あり、例えば「ジャスミン」や「マグノリア」「フランジュパニ」「ローズケンティフォリア」などです。

一方、水蒸気蒸留法による「お花のみ」から抽出される精油は「イランイラン」「ヘリクライサム(アブソリュートもあり)」「ネロリ(花弁)」「ローズ(アンフルラージュ、アブソリュートもあり)」「菩提樹花」などで、「フローラルウォーター」は実際には種類はとても少ないのです。

仮に「ジャスミンのフローラルウォーター」があったとしたら、だいたいは「水とジャスミンアブソリュートの混合液」か化学合成品です。
※稀に水蒸気蒸留法のジャスミン精油やフローラルウォーターがあるそうですが、かなり高価とのこと。※

※ヴィアロームの「ローズハイドロソル」には、ローズの精油が混入されています。ハイドロソルへの軽い香り付けかと思われます。※

柑橘類の「果実」の精油も、低温圧搾法で採取されるのでハイドロソルは存在しません。
※「ライム」や「レモン」は水蒸気蒸留法から得るものあり。※

ハイドロソルはホログラム的フラクタル

化学用語の「ハイドロソル(hydrosol)」は造語です。
「水(hydro)(分散媒)」プラス「溶液(sol)(固体の分散粒子が液体の分散媒に浮遊するコロイド分散系)」で「水溶性」であり、「固体粒子が分散している安定な懸濁液」です。

「イドロラ(hydrolat)」はフランス語では、
「hydro=水」で、「hydroとlat=乳化した液体」となりますが、
ネリー・グロジャンの本によると、「ハイドロソルはイドロラ(hydrolat)」、
「イドロラ(hydrolat)は湧水」であり、「湧水を使って原料の植物を蒸留して得た蒸留水の最初の20リットル」を差す
とのこと(この手の本は訳が変ちくりんで、捉え方はイマイチ正確ではないと思います。)。

ハイドロソルは、精油の蒸留過程での副産物として有名ではありますが、ハイドロソルそのものを得るために蒸留する場合もあります。
ハイドロソルにはその植物全体が含まれ、また、水に可溶な精油の分子が存在
します。
それは植物細胞中に流れていた液体です。

よって、ハイドロソルはただの水ではなく、またはハーブティーやチンキ剤でもなく、「水としての性質を保持した」ホログラム的な物質であり、体質的に自然なフラクタル(カオスの中にある秩序)です。

選択の注意

ホンモノ(長期保存はNG)

以下を読んでいただくと理解いただけると思いますが、フランスの医療アロマテラピーでの様々な治験により、精油と同じく相当のリターンが見られますので、信頼できる品質の「保存剤及びアルコールが添加されていないハイドロソルを選択する重要性」を見逃してはいけません。

ただし、ナチュラルなハイドロソルは保存できる期間が短いことも意識しましょう。
様々な種類を並べておきたいところだけど、開封後の品質保持期間は、安心したければ3ヶ月くらい。
保存に適した気温は10℃~20℃です。

また、体内に取り込まれた物質は、体内で相互に結びつきます。
もしくは体内の既存化学物質とも相互作用します。
なので、特に薬物投与を受けている場合、純粋なハイドロソルであればあるほどに使用の際には化学的な観点からの配慮が必要です。

精油が混在しているだけに浸透性が高いことを考えると絶対ではありませんが、内服ではなく肌にスプレーする程度なら、種類によっては神経質になる必要はないとは思います(あくまでも選択によります)。
※注意・ただし、精油そのものは低濃度でも強力な化学伝達物質であり、細胞膜上のレセプターと結合し、血液~脳の関門を透過することを念頭に置きましょう。※

偽物

ハイドロソルには、植物成分の水への溶解度や蒸留特性に依存して、1リットルにつき、0.05~0.2ミリリットルの精油が溶解しています
しかし、もちろん同じパーセンテージの「精油」を「水」に混ぜてもハイドロソルにはなりません

何が重要かというと、ハイドロソルには、精油には存在しない親水性の有機酸から構成される水溶性の植物成分も含有されている点です

どこかの本かネットに「水と好きな精油を混ぜて独自のハイドロソルを作りましょう」と書いていましたが、自身で植物材料を蒸留釜で蒸留しない限り、独自のハイドロソルはできません。

また、ハイドロソルに溶解している精油はあくまでも「可溶な精油の分子」だけであり、精油全体ではありません。
よって、水と精油を混ぜる際には油溶性の精油物質を溶かすためにアルコールを混合するしかありませんが、これは「精油混合ウォーター」になります
(アルコールにはアルカロイド類が含有する点でもハイドロソルと異なります。)

もちろん、ウオッカベースのチンキ剤と水を混合しても、それは希釈チンキであり、ハイドロソルではありません。

※ただし。
私個人的には、「水+精油」が悪いとは全く思いません
アルジタルの「ルジアダローション」や「ネロリウォーター」は芳香も感触も心地好く、アリです。
自作する場合は、できるだけエタノール量を減らして作り、半年以上寝かせると角が取れて円くなります。
エタノールの代わりにウオッカで抽出した「ジャスミン」や「ローズ」などのチンキ剤を使った方がパワーアップします。※

※体験記・一度、ローズのハイドロソルに半年かけて作ったジャスミンのチンキ剤といくつかの精油を交ぜて「すげぇパワーのローション」を作ってみたところ、ウオッカベースのチンキ剤のせいで混合仕立てはまだ尖っており、半年の経過で相当に円やかになりました。
コレはコレとして、よいものになりました。※

「偽物」は、「水+精油は決して天然のハイドロソルではない」という意味であり、それらを「フローラルウォーター」や「ハイドロソル」「芳香蒸留水」として販売しているのは「偽物」といいたいだけです。

再留もの

材料中の可溶性成分を最大限抽出するために行う再留操作(一度得られたハイドロソルを植物材料に戻して繰り返し蒸留する方法)で得た凝集水もハイドロソルではありません

ハイドロソルに含有する精油成分の多くは溶解状態で存在していて、精油がハイドロソルの表面などに水層から分離した形での目視はできません。
しかし再留ハイドロソルでは、多くの精油の微少滴が凝集してハイドロソルから分離しています。

購入の際、ボトルまま見ても分かりません。
信頼できるブレンドのものを選択するくらいしか回避方法はないかと思われます。
また、使用経験があれば、ローズとメリッサ以外の再留ハイドロソルは、使った際に違和感があると思われます。

「ローズ」と「メリッサ」のハイドロソルのみ、再留操作でしか得られません
微少な収穫量が更に低下して、化学的にも芳香的にも治療効果的にも不完全になることを避けるための合法です。※

っぽいもの

また、たまに見かける「っぽいもの」にも気をつけましょう。
成分表に「○○の水抽出物、イミダゾリジニル尿素、カルミン、メチルパラベン、濃縮○○エッセンス」などと書かれたものもハイドロソルではありません。

ネリー・グロジャンの自然療法

ハイドロソルは本来は、自然療法の中では重要な存在でありながら、私自身はハイドロソルを本当には使いこなせてはいません。

私にとってハイドロソルは、最初はなんとなくケアのメイン品ではなく、食事でいえば「外せない副菜」のような存在でしたが、いろいろ調べているうちに様々な場面で非常に有効なことを知ります。

それでも日常はほとんど精油ブレンドオイルの前にスプレーしたり後でもスプレーしたり、あるいは精油ブレンドオイルをまた重ねてはスプレーしてサンドイッチにしたりと、ひたすら有効な保湿水として使います。
(この使い方は、ハイドロソルと精油ブレンドオイルが乳化されて両者共に浸透しやすくなります)

これは日本独特の「乳液が展開して出来上がった保湿化粧水」こそが「スキンケアに於ける水」という意識が強いからだと思います。

いつからか、皮膚の軽い炎症止めや目洗い、日焼け鎮静、頭皮トニックのような使い方もできるようにはなり、その程度でもハイドロソルが魔法の水であることは実感しています。

例えば「蚊刺さされにラベンダーやティートリーの原液精油が非常に優れた治癒を示す」ことなどと同様に気軽さを持って使います。
(※提案・レジャーにラベンダーかティートリーの精油をポケットに入れておくと様々に凄く便利だよ。)

それでも服用で治療に用いるには勉強不足、経験不足でハードルが高いものでもあります。

私が精油及び精油ブレンドオイルに深い興味を持ったきっかけは、自然療法士であり芳香療法士であるネリー・グロジャン氏の著書からですが、この時に彼女はハイドロソルを治癒的に使用するアイテムとしていることを知りました。
ネリー氏のプロトコル(治癒計画)では、ハイドロソルは肌だけでなく、内服にも使います。
(精油も内服します。)

ネリー氏は12セットの精油の相乗効果を提案。
1年12ヵ月、各身体の部位と各星座(黄道12宮)に対するそれぞれの精油の作用を試みるそうで、これを「衝突(frictionフリクション)」と呼びます。

ザツにいうと
これを通常は21日間、内服と外用の両方で用いますが、この時、プロトコルの一部として、症状に準じた「1.5リットルの水で希釈した30ミリリットルのハイドロソル」を毎日内服します。
1週間休んで、また21日間続けます。
これは他の何人かの自然療法士も同様に述べています。
ネリー氏のプロトコルには他にも様々にありますが、「10の黄金律」といいます。

自然療法士の中には、治療アロマテラピーとして「精油を用いたどのようなアロマテラピーも、ハイドロソルを用いない場合は治癒効果は完璧ではない」とさえ言う者があるほどにハイドロソルは非常に重要視されています。

治癒のためのアロマテラピーとなると、(四角四面なプロトコルを実行できないのもあって)私にはちょっと非科学的な域でもあり、何かを治癒したかったわけではないだけに、そこら辺で正統派的なところからは脱落しましたが。

それでも、本格的な病を治せるとは思いにくいとしても、あらゆる面での「予防」には有効だと感じます
ちょっと調子が悪いだけで何につけ、合成化学物質の投与は避けたいところなので(自然の物質が必ずしも万人に良いわけではないとしても)、このような怪しくない(私にとって怪しくはない)自然療法の存在を知っておくことは生活に有効だと感じます。

余録ですが、ハイドロソルは精油より優しく使いやすく、しかしながら効果が高いのは、ある意味、ホメオパシー的な側面を抱えていると考えられています。
(深くは調べていません。多分に自然なるレメディーとして(ホメオパシーの原則は「少ない方が良い」ので、更に更に淡く希釈して使うと思われますが)だと思います(あくまでも多分)。)

レメディーとはまた違いますが、淡くて頼りなさそうな水ですが、そのパワーは侮れません。

ハイドロソルのpH値

先に水のpH値について。

・水道水は地域によって異なりますが、厚生労働省の水質基準によると「5.8以上8.6以下」。

・精製水のpHは、もとはpH7、作った直後から炭酸ガスが溶解するので、実測はpH6ぐらいだそうです。
が、イオン強度が低いためになんでも溶かしこみやすく、非常に安定しにくいので、実際は低導電率用電極を使うか、窒素気流中等で測定しなければならないようです。
私はとりあえず、だいたいpH6と考えておきます。

・蒸留水は、イオン交換をしていないため、直ちに二酸化炭素が溶け込んでしまうので、pH5.6程度までの酸性にになるそうです。
ただし、完全に密閉された装置で減圧蒸留を繰り返すと、約pH7になるそうです。

本題です。
ハイドロソルのpH値は普通の水とは異なり、弱酸性を示します。
このpH値こそが、治療的効果に大きく影響します

※豆知識・変動はありますが、精油の平均pH値は5.0前後、最大で5.8くらいです。※

強い酸性値ハイドロソルの活用法

(入手したことはないのですが)中でもロックローズ」は「pH2.9~3.1」という強い酸性による強度な収斂性を持ち、適用部位の細胞を収斂させるため、止血に有効だそうです。
身近な場面では、つまり、毛穴を引き締め、シワを減少させる作用があります。
逆を言うと、既に乾燥している皮膚に使うと完全に干上がるといわれています。

精油とは効能イメージが異なるものも

注意したいのは、「ネロリ」です。
精油自体にはアンチエイジング効果によるシワや引き締め効果があるので勘違いしてしまいそうになりますが、ハイドロソルは強い酸性「pH3.8~4.5」を示すので、皮脂を流します。

また、やはり精油では優しい鎮静効果を示すカモミール・ローマン」もハイドロソルは「pH3.0~3.3」と、強く酸性を示すことを覚えておきたいところ。

これらpH値が低いハイドロソルは、スキンケアに於いては収斂作用を求める時にだけ使いましょう。
効能を利用したい時は、pH値が高めのハイドロソルと混合します。

中性値のハイドロソルの活用法

逆に出血による傷口の洗浄が必要で膿や汚物で汚染された創傷の処理に適するのは、中性を示す「ラベンダー(pH5.6~5.9)」です。

他、「メリッサ」や「ゼラニウム」、「コーンフラワー」、「セントジョーンズワート」など、約中性値のハイドロソルには優れた種類の保湿作用があります。

未希釈ハイドロソルの用途

ハイドロソルは遮光のスプレーボトルに入れた方が無駄が出ず、菌からも守りやすく、使いやすいです。

スキンケア部門

スキンケアへの応用はとても身近で実行しやすいです。
一見、優しく頼りなさそうな見てくれですが、予防法美容だけではなく積極的美容に使えます

ハイドロソルの塗布は基底層の修復が加速されることで角質層の脱落過程が遅くなる、つまり基底層での肌は育つのにバリアー膜である表面角質は剥がれ過ぎないので、まだ未熟な角質が表面に出る問題が起こりにくくなり、バリアー膜の育成にはうってつけです。

よって、新しい角質が表面に表れる組織には、赤みが少なく、痛みや刺激も感じにくいものになるため、傷ついた皮膚や痒み、疼痛、皮膚炎、皮膚の発赤にも治癒効果を示します

この場合、一日に大量を1~2回適用するより、少量を3~12回適用した方が効果的です。
深刻な際には出かける時に持ち歩くことをお勧めします。
軽い芳香剤、清涼剤、除菌剤にもなります(精油濃度は淡いので、軽いプラスチックボトルOK。)

※ただし、湿疹や乾癬についての改善及び治癒にはハイドロソルだけでは難しく、多面的な治療が必要だそうです。※

ハイドロソルの選択は、時々の肌の状態、気候、環境に応じます。
希望の効果を手に入れたい場合は、幾種類かをブレンドして使うのも楽しいです。
私はだいたいはpH値が高めの「ゼラニウム」と「メリッサ」を愛用しています。
「カモミール・ローマン」を使いたい場合は、pH値が高い「ラベンダー」とブレンドすることが多くあります。

・メイク落とし
軽いミネラルメイクなら落ちます。
ハイドロソルでコットンに浸して優しく拭き取り、更にハイドロソルをスプレーします。
入手しやすい中で最も効果的なのは「ローマン・カモミール」。
高めのpH値の中では「ゼラニウム」です。

・収斂水(トナー)
PH値が低いハイドロソルは収斂作用が強いのでトナーになります。
ハイドロソルを浸したコットンでの塗布及びスプレー、どちらでも。
入手しやすい中で効果的なのは「ネロリ」「セージ」です。
(乾燥に注意。)

・クレイマスク
乾燥クレイにハイドロソルを好みの粘度になるまで加えます。

・スクラブ
ものすごく細かく粉砕した乾燥小豆粉やオートミールなどに植物オイルと精油とハイドロソルを加えます。
この際、海塩を使う場合は、先にハイドロソルをスプレーして肌を湿らせてから使います

・保湿マスク
コットンにハイドロソルを10分間浸してから肌に乗せます。
メイク前のリフトアップに。
瞼に乗せると疲れ目が緩和します。
オイリー肌に向いているのは「セージ」「ローズマリー」「ジュニパーベリー」「タイムチモール」。
ニキビや発疹には「タイムチモール」、もしくは「希釈したペパーミント」。
アンチエイジングには「ローズ」「ゼラニウム」。

・保湿剤
個人的に最も利用している使い方です。
洗顔後、オイルを塗布する前にハイドロソルをスプレーすることで皮膚の保湿性が高まり、キメを整えます。

先にも書きましたが、ハイドロソルが乾く前に精油ブレンドオイルを適用すると、精油とハイドロソルが乳化して素早く吸収されます
どちらも分子が小さいので、素早く深く浸透します。

鉱物油及びステロイド剤フリーの30ミリリットルのクリームに10滴のハイドロソルを加えて、よく攪拌して使うと、クリームがパワーアップします。
(余談ですが、私自身はクリームを使う際、都度に好みの精油ブレンドオイルを数滴垂らします。)

ヘアケア部門

私自身は3週間ほど試してはみましたが、もともと健康な髪は見事にツヤツヤになります。
頭皮環境が非常によくなる感覚。
多分に、強いダメージを受けた髪に連日使うと、相当の蘇生が見られると思われます。
どのような合成トリートメントも、髪の表面は修復しても根本的解決にはならないので、頭皮から改善する点でお勧めしたいです。

ただし、連日となるとけっこう量のハイドロソルを使うので、ふだんは実行していません。
藁にもすがりたい時、綺麗になるなら少しくらいの出費は厭わないくらい酷い時には思い出して欲しいです。
もちろん、ここに価値を見いだして優先し、ふだんからこのヘアケアをしていると、健康な頭髪を保てると思います。

私が実行した時はシャンプーやコンディショナーの質を深くは問いませんでしたが、インチキオーガニックとしても、ジュリークやジョンマスターオーガニックのものを使いました。

※余談になりますが、ここ数年はオーガニックとは関係のない「TプレイスフューチェARシャンプー」と「アメイジングプレックスNo.2ボンド・フィニッシャー」で保っています。※

頭皮マッサージヘア(スカルプ)オイル前に
純粋な精油ブレンドヘアオイルで頭皮をマッサージをする前に頭皮にスプレーしておくと、スキンケア同様、精油とハイドロソルが乳化して素早く浸透します。
セージやシダー、ローズマリーお勧め。

これは私もたまに実行していますが、養分が行き渡りながら1本1本の髪の生え際がスッキリして、不自然に膨らませない自然な根元ボリューミーさを保てます。

・シャンプー
シャンプーに対して50~70%のハイドロソルを希釈します。
たいていのシャンプーは濃いので、問題なくよく泡立ちます。
髪も頭皮もスッキリ洗浄されます。
酸性の頭皮表面が保たれながら、頭皮と髪の根本に栄養が行き渡り、髪が1本1本輝いてきて滑らかになります。

特に細く痩せた頭髪、脱毛、頭皮の痒み、フケ症には「シダー」を50%希釈してみましょう。
他、頭髪に特によいのは、全てのケモタイプの「ローズマリー」、「ゼラニウム」。

・コンディショナー
コンディショナーに対して約20~30%のハイドロソルを加えます。
特にローズ、ゼラニウム、ネロリなどを選択すると、髪に艶を与えながら、華やかな香りが残ります。

・リンス
(昔の「リンス剤」とは違った使い方です。)
重篤な脂漏症、難治性頭部秕糠疹、円形脱毛症には、洗髪後、未希釈のハイドロソル30~50ミリリットルを頭髪にかけて乾かします。
その後、ハイドロソルを頭皮にスプレーして指でマッサージします。
健康な髪はますます健康になります。

一般的には日本人の髪色には
ローズマリーベルベノンハイドロソル=40%
セージハイドロソル=25%
ラベンダーハイドロソル=25%
リンゴ酢=10%

頭皮トラブルには
フランキンセンスハイドロソル=40%
ネロリハイドロソル=25%
オレンジミントハイドロソル=25%
リンゴ酢=10%

脂漏症、難治性頭部秕糠疹、円形脱毛症、痒み、フケ症には、ローズマリーとヤローのブレンド、
脱毛症には、シダーとローズマリーのブレンド、
脂性頭皮には、ローズマリーとネロリとセージのブレンド
がより有効です。

衛生部門

コットンをハイドロソルで湿らせると、アルコールフリーながらに除菌とナチュラルな芳香を兼ねたウェットティシュになります。
ハンドスプレーは病原体の拡散防止になります。
これは赤ちゃんから老人まで使えます。

清涼部門

ハイドロソルの局所へのスプレーは、循環刺激、体温冷却により、即席の清涼剤になります。

日焼けした肌への全身スプレーは、日焼けダメージ押しを緩和しながら、汗臭さからも解放されます。

汗をかいた時の塩害防止にも有効ですが、揮発による乾燥には注意。

希釈ハイドロソルの用途

湿布

筋肉痛、筋肉緊張による感染創傷、気管支炎、静脈瘤などなどに湿布する場合は、「大さじ3~5(子供には「大さじ2~3」)」のハイドロソルを(適用に応じた温度の)水1リットルで希釈します。
心地好い布に浸します。

※温湿布の場合も電子レンジで温めないでください。あくまでも、「湯で希釈したハイドロソルを含んだ布」です。※

温湿布は患部が冷えるまで、冷湿布は温まるまで。

全身浴

通常の浴槽、多分に200リットルくらいにハイドロソル30~250ミリリットル。

入浴剤として100ミリリットル入れてもピンと来ませんでした。
となると、相当量のハイドロソルが必要なため、何かを治癒したい場合を除くとなかなかに勇気が要ります。 

(新生児のバスタブには小さじ2、12才までの子供には「浴槽に年齢1才当たり小さじ1を最大8まで。)

座浴

産褥、痔疾、重い膀胱炎、カンジダ症、膣感染症などの特定かつ重篤な症状、逼迫している場合には非常に有効だそうです。

大まかにいうと、100ミリリットルのハイドロソルを通常の浴槽10センチくらいの深さ量に希釈。
これを温水と冷水パターンで作る。
15分間座浴を繰り返します。

内服

経口摂取

・日常飲料
1リットルの水に大さじ2のハイドロソルを1日1.5~2リットル飲用。3週間実行、1週間お休みを繰り返す。

・マウスウォッシュ
口内炎、歯肉炎、口腔潰瘍、咽頭炎、感染症に。日常は水に4倍希釈、治癒には未希釈。

・強壮剤、治療剤
通常、未希釈のハイドロソル大さじ1を1日3~6回(目的に応じる)、経口投与。
手に入れやすい中では、例えば
風邪にティートリー、ユーカリ。
消化不良にフェンネル。
慢性的疲労や低血圧。にセージ。
不眠症にジャーマン・カモミール。

・内服体験記

ショボい体験記ですが。
たまたまかもですが、ハイドロソルの内服が身体に影響を与えることは体験済みです。

私は昔々、なんのためだったか、デトックス流行りだったからか、選択の理由は全く覚えていないけど、ジュニパーベリーのハイドロソル(ヴィアローム)を服用して、即、お腹を壊しました。
そして、生まれて初めて尿意で夜中に何度か目覚めました。
まさかハイドロソルが強く作用するとは思いもしなかったので、驚きました。
ある意味、デトックスにはなったかも?

分からないうちは、自身に合う合わないかはくじ引き状態。
なので、特に飲用はよくよく学んでからにしましょう。

非経口投与

・洗眼剤
手に入れやすいハイドロソルの中で、点眼剤として用いることができるものは「ローマン・カモミール」もしくは「ジャーマン・カモミール」です。
ふだんの疲れ目に使用できますが、結膜炎、アレルギー性炎症にも有効だそうです。

私自身は酷く充血した時(結膜炎ではない充血)に目を洗うようにダラダラとローマン・カモミールを点眼したことがあります。
2~3回繰り返していたら充血はなくなりました。
気持ちよいです。

他、点鼻剤、点耳剤にもなります。

持つ本には、嘔吐、下痢、肝臓の過労、子宮筋腫、子宮内膜炎、抑鬱、関節炎などなど、様々な症状に対するレシピが載っています。
私が試したのは、最も簡単でリスクがないと感じた「頭痛」だけなので、頭痛だけ転載します。

残念というか、問題は、私はほぼ頭痛を起こしたことがなく、あっても深い眠りから急に目覚めたままの日中の頭重で試しました。
なかなかにスッキリしました。

★頭痛
・ペパーミントハイドロソル=50ml
・ローマンカモミールハイドロソル=50ml
・水=100ml
未希釈のハイドロソルを大さじ2内服
残りを水で希釈して布に浸し、額と首筋に同時に湿布
15~20分間横になる
※偏頭痛にはプラス、ペパーミントの精油2~4滴加える

希釈の溶媒

ハイドロソルはオイル以外であれば、だいたいの溶媒に溶け込みます。
添加不能な物質は、
・オイル、及びオイル含有が高い基剤
・ワセリン、及び鉱油を含む基剤

です。

分からない場合は、両方を混合してみて混ざり具合で判断します。
基剤のオイル量が多い場合は分離してしまうので使えません

また、過酸化水素水にハイドロソルを添加した場合(15%くらい)、過酸化水素水の刺激は緩和されます。
ただし、ハイドロソルそのものの効果は感じなられなくなるそうです。

各ハイドロソルのpH値

手に入りやすいハイドロソルの平均的PH値を書き出しておきます。
pH値が高いほどに円やかで、低いほどに収斂作用が高くなります。

フランキンセン
ス Bswellia carterii

pH4.7~4.9
塗布=即時、肌キメが整う
吸引=気道拡張
内服=利尿作用

ローマン・カモミール Chamaemelum nobile

pH3.0~3.3
塗布=発疹、過敏性、ニキビ、発赤、火傷鎮静
注意=強い酸性のため、乾燥肌には単独での使用は避ける

ネロリ Citrus aurantium 

pH3.8~4.5
塗布=強い収斂作用、ニキビ、炎症除去、オイリー肌向き

サイプレス Cupressus sempervirens

pH3.8~4.0
吸引=鎮咳、去痰作用
内服=ジュニパーベリーハイドロソルと同量ずつ混ぜて体内の滞留体液排泄
注意=塗布も内服も強い利尿作用

ユーカリ(グロブルス) Eucalyptus globulus

pH4.1~4.3
マウスウォッシュ=呼吸器系疾患、咳、感染症、風邪
注意=4才児以下は塗布も内服も未希釈で使用不可

シダーウッド(アトラス) Cedrus atlantica

pH4.1~4.2
シャンプーやコンディショナーへの添加=痩せた髪、脱毛、傷んだ髪改善
塗布=ひび割れ、皮剥け、炎症性ニキビ改善

コーンフラワー Centaurea cyanus

ph4.7~5.0
内服=点眼に推奨できるハイドロソル、湿布で疲れ目、腫れ目、汚染、コンピューター疲れに有効
塗布=シワ緩和、緩んだ胸元の皮膚引き締め、メイクオフ、保湿ウォーター
注意=妊娠初期3ヶ月使用不可(植物ホルモンの存在の可能性にて)

セントジョーンズワート Hypericum perforatum

pH4.5~4.6
塗布=皮膚修復、柔軟化、毎日の使用で美白効果

ジュニパーベリー Juniperus communis

pH3.3~3.6
塗布、内服=組織収縮、細胞内液排泄、腎機能亢進、循環器系強壮(血圧に影響無し)
塗布=オイリー肌、ニキビ症に有効
用途=自己浄化作用、外界及び内部からの好ましくないエネルギー遮断作用
注意=塗布も内服も強い利尿作用

ラベンダー Lavandula angustifolia

pH5.6~5.9(ハイアルペンは4.6)
塗布=冷却効果、非ドライ系のクレンジングウォーター、創傷、髭剃り後、日焼け後、発疹、虫さされ改善

ティートリー Melaleuca alternifolia

pH3.9~4.1
特徴作用=消毒、抗真菌、抗菌、抗ウイルス作用
マウスウォッシュ=咽頭炎、咳、歯肉炎、口臭
蜂蜜に添加したシロップ=咳止め
点鼻=アレルギー性鼻炎、副鼻腔うっ血改善
塗布=創傷の洗浄、皮膚感染症改善

メリッサ(レモンバーム) Melissa officinalis

pH4.8~5.0
塗布、内服=免疫賦活作用と感染防御率作用
塗布=皮膚洗浄、発疹、肌荒れ改善

ペパーミント Mentha piperita

pH6.1~6.3
※pH値は想像やイメージに反して高いです
吸引、内服=浄化促進、胸焼け、逆流性食道炎の緩和
塗布=抗炎症作用、筋肉のこわばり、疼痛、捻挫、トナー
湿布=熱い湯で希釈は冷却効果、冷たい水で希釈は温熱効果

ゼラニウム Pelargonium graveolens

pH4.9~5.2
塗布=肌タイプ問わずバランス調整、硬くなった部位も傷んだ部位も全身に有効、メイクの上からのスプレーは悪環境のリフレッシュと保湿作用、メイク落とし、抗炎症作用、冷却作用、日焼け後の鎮静、皮下内出血
塗布と内服=更年期のホットフラッシュ、月経前症候群、更年期障害の緩和

※「ゼラニウム」は「ローズゼラニウム」と称されている場合もあります。
違いは「産地によっての含有成分による芳香の違い」でしかなく、学名は同じPelargonium graveolensです。
芳香は、精油だと分かりやすいのですが、ゼラニウムはハーバル香が強く、ローズゼラニウムは甘いローズ様の香りが強いと感じます。
また、ゼラニウムブルボン(産地はインド洋に浮かぶフランス領ブルボン島(レユニオン島))はローズに含有される「ゲラニオール」の含有率が高いのでローズ様な香りが強いのですが、キリッと透明なハーバル香と甘いローズ香のバランスが取れたニュートラルな香りがだと感じる点が好きで、私はブルボンを使う場合が多くあります。※

ローズ(アブソリュート) Rosa centifolia/Rosa damascena、ローズ(オットー) Rosa damascena

pH4.1~4.4
塗布=ノーマル肌から乾燥肌、熟年肌、敏感肌への強い湿潤作用、緩い収縮作用、穏やかな殺菌作用
内服=全年齢層のホルモン調整剤、内分泌系に対するバランス作用

ローズマリー(カンファー) Rosemarinus officinalisCT1

pH4.6~4.7
塗布、内服=強力な抗酸化
塗布=オイリー肌のトナー、髪の育成、脱毛改善
湿布=筋肉組織から尿酸や乳酸の排泄を促す

ローズマリー(ベルベノン) Rosemarinus officinalisCT3

pH4.5~4.7
内服=呼吸器改善、副鼻腔の粘液や痰の軽減
塗布=皮膚の中層に作用、肌荒れ、吹き出物、炎症、打ち身鎮静
スチーム、湿布=皮膚表面に老廃物を排泄させて毛穴詰まりを取り除く
※強い抗酸化作用はハイドロソル本体の保存性はなく、高いrH2ファクターによるものとのこと

セージ Salvia officinalis

pH3.9~4.2
塗布=寒気にさらされた後の直接スプレーで乾燥改善、シワ防止、老化防止、オイリー肌のトナー、
塗布、内服=静脈系の調整、循環改善、マイルドな利尿作用による解毒、心身疲労回復強壮剤、エネルギー回復、抗細菌、抗真菌、抗ウイルス作用、ホルモンバランス調整作用

好きなブランド

私がスキンケアに特に使うのは、もう15年以上前から愛用のヴィアロームのハイドロソル各種です。 
長年、ほとんどがヴィアローム。
全身に至るちょっとした肌荒れや創傷にも使います。
惹かれるのは「有機栽培で育てられた芳香植物を蒸留して得られる最初の20L」という文句です。
精油にまみれている私には芳香は淡く感じるのですが、感触は非常に心地好いです。
場合にはよるものの、これからの季節に常備しているのはpH値が高めのメリッサとローズゼラニウムです。
メリッサは精油の角が丸くなった柔らかい香りで、ゼラニウムはとても心地好く香ります。
他、特に好きな種類は、セージ、ラベンダーで、どちらも淡い芳香が実に美しいです。

(全部並べておきたいのですが、「大高酵素のヘーラールーノ」も使用しているのと、劣化の懸念から、だいたい2~3種類しか常備していません。)

時にケンソーの国産ハーブウォーターを使います。
夏場に「シトラス系ブレンド」やローズ、セントジョーンズワートを使います。
丸写しですが、
「自然環境豊かな土地で完全無農薬有機栽培により育てられたハーブを南アルプスの地下水を使用し蒸留しました。徹底した品質管理と衛生管理のもとに製造された最高水準の製品です。」
非常に信頼できる確かなハイドロソルだと思います。

石鹸に使用しているのは多量ボトルが手に入りやすいフロリハナのフローラルウォーターです。
個人的スキンケアには、よくフランキンセンスを選びます。
フロリハナは信頼できるし、価格は可愛らしいながらにクオリティーが高いのでお勧めです。
全身浴やヘアケアなど、短期間で多量必要な時には是非。

他、サノフロールのフローラルウォーターもたまに使います。
品質がよいです。

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参考文献
・次世代のアロマテラピー・ハイドロゾル」
進化した「次世代のアロマテラピー・新訳ハイドロゾル(フレグランスジャーナル社)」
・「サイエンスの目でみるーハーブウォーターの世界(フレグランスジャーナル社)」
・「ハーブの科学(養賢堂)」
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